【書評】金持ち父さん貧乏父さん:文句のつけどころがない良書にあえて文句をつけてみた

書評 金持ち父さん貧乏父さん読後レビュー・書評

約一年前、投資に関する情報をTwitterやブログ記事で集めつつ「つみたてNISA」を始めました。

月々の掛け金が少ないので大した利益にはなっていませんが、コロナショックの渦中も積み立てを続けた結果、2020年8月29日現在で保有銘柄の評価損益は平均して約10%と、うれしい数字になってくれています。

ドルコスト平均法くらいしかわかっていない中で始めた割に今のところうまくいっていますが、ネットで拾った情報しか持っていないというのが心許ないと感じているのも事実です。

てなわけで、ちゃんとした本で勉強しよう!
とりあえず「投資本 おすすめ」とかで調べて、簡単で読みやすそうなやつからどんどん読んでいこう!

という一環でまず手に取ったのが「金持ち父さん貧乏父さん」でした。

本屋でパラパラと立ち読みしてから決めたのですが

  • どうやら9歳のころの著者が主人公?らしい
  • 最初の方を見た感じでは、ストーリー仕立てで読みやすそう
  • 「とりあえずこれを読め」って感じでおすすめされてるし、入門編ならきっと内容も簡単でしょ!

という安易な考えで選んだわけです。

察しのいい方はすでにお気づきでしょうが、ページが進むごとに読みにくさはどんどん上がり、入門編には程遠い、それでいて大事なことがたくさん書かれている本でした。

できることなら税金使ってでも全国の小中学校に置いてほしいし、英語の前にこっちを必修科目にしてくれ!と思うくらい、「お金」に関する基礎的な教養が身につく本だなと。

この本に関するレビューもほとんどが高評価だったのは当然だなと思うのですが、あえて感じた数少ない「納得いかない部分」を紹介してみようと思います。

金持ちとは程遠い投資初心者がどこまでケチをつけられるのか!?
無謀で無意味な戦いが今始まる!!

この本はこんな人におすすめ
  • 経済的自由に興味がある
  • ある程度まとまったお金がないとお金儲けはできないと思っている
  • 「一生懸命働く」以外の方法でお金を稼ぐのはズルい・悪いと思っている

追記:なんか負けたような気がして悔しかったので「金持ち父さんの投資ガイド」も読みました!玉砕でした!

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本の概要

著者のロバート・キヨサキ氏(日本名:清崎 徹)は「金持ち養成学校の先生」と呼ばれていますが、初めからお金持ちの家庭で育ったわけではありません。

この本では、著者が9歳のころに「金持ち父さん」に教えてもらったお金の知識(ファイナンス・インテリジェンス)について書かれています。

いい成績をとり、いい大学に行き、いい仕事(政府の高官、学校の教師)に就いていた実の父が「貧乏父さん」、友人マイクの父で、ガソリンスタンドやコンビニなど複数のビジネスを経営していた人が「金持ち父さん」です。

この本はもちろんお金持ちになりたい人が読むのがいいと思いますが、「お金持ちになる方法」というよりは「お金のために働くのではなく、お金を人のために働かせる」という考え方を学ぶために書かれたものです。

「資産」と「負債」の違い、「金持ち」と「それ以外の人」のお金の流れ、本当のお金持ちになるには「安全な運用」ではなく「賢い運用」をしなければいけない……

などなど、日本という国で普通に暮らしているだけでは学べないことがあれもこれもたくさん書いてあります。

そりゃお金はあればあるだけうれしいけど、別にだれもがうらやむような大金持ちにはならなくていいんだよなぁ。
定年後に年金の心配しなくてもいいくらいの貯えがあればいーや。

という私みたいな価値観の人間には、目指すレベルがやや高めの内容になってはいますが「貯えを効率よく作る考え方を学ぶ」という意味でも、読んでおいて損はないでしょう。

投資初心者なりに思う「納得いかない部分」

さて、個人的には「今すでに経済的自由を達成している人以外の全人類」に読んでほしいとさえ思っているこの本なんですが、まるっとそのまま真似るには少しハードルが高いというか、その方法でなくてもいいんじゃない?と思ったところを挙げていきます。

投資の最終目標が「大金持ち」ではなく、つつましやかに暮らせば働かなくていい「小金持ち」である人間の戯言ですのであしからず。

有料の情報を買う

この本ではたびたび、「お金が欲しいなら、まずお金を与える人になるように」という教えが出てきます。

例えば有能な税理士や会計士を高給で雇う、有益な情報が得られそうなセミナーや本にお金を払うなどなど。

「お金が余ったら与える」のではなく、「お金を稼ぐためにまず与える」という考え方は、実行するのは難しいながらも真理だろうなと感じるところではあります。

ただ、この本が出版されたのは2000年11月のこと。

20年前の本でも、今に通じるお金の知識が身につくのは間違いないんですが、問題は「有料セミナーに投資する」という部分。

現代に置きかえると「有料セミナー」の中には、購入者のアフターフォローつき有料noteやメルマガ・ブログ経由でしか申し込めない有料教材なども当てはまるでしょう。

2000年といえば、まだiPhoneもAndroidもこの世に誕生していません。
インターネット環境がある人間でさえ、アクセスできる情報は今よりはるかに少なかった時代です。(余談ですが私はこのころ犬夜叉にハマっていました。)

つまり、「知る人ぞ知る」有益な情報は、お金を払わなければ手に入れるのが今よりずっと難しかったということ。

現代ではむしろ、「溢れすぎている情報の中から本当に役に立つものはコレ!と教えてくれるものにお金を払う」という内容の方が多数派のような気がしますが、逆に言うと「お金を払わなくても手に入る情報がほとんど」とも言えます。

さらに言うと、インターネット経由で手に入る情報の中には残念ながら「情報商材」とは名ばかりの詐欺が横行してしまっているのも事実です。

この世のすべての情報商材が悪だとは思いませんし、中には本当に「無料では手に入らない極秘情報」を教えてくれるものもあるかもしれません。

ただ、数ある中から「本当にこれは正しい情報か?騙されていないか?」あるいは、「こんなに高いお金を出さなくても少し調べれば誰でもわかることではないか?」という目を養う意味でも、最初は無料で手に入る情報をある程度収集して、その業界の基礎知識を把握しておくことは必要です。

情報を手に入れる手段として「まず有料のものに手を出す」というのは、それこそ自分がお金持ちになるのではなく、情報発信者を儲けさせるカモになることと紙一重であることを理解したうえで決断できるようになりたいですね。

どうしても買いたい情報があったら、「失ったら生活が破綻するほど高額でないか?」を判断基準にしてね。

著者が参加していた不動産などのセミナーは、数百ドルの参加費で数千ドルの利益を生み出したとありますが、中には全く役に立たなかったものも少なからずあったようです。

他の投資に関しても、なくなっても困らない金額しか使わなかったと記載がありますから、このあたりがひとつの判断基準になると思います。

間違っても、今月の家賃や光熱費を工面するのに困っている状態で50万も100万もする情報商材を借金してまで買う、なんてことはやめましょうね。

「元が取れればいい!この人(情報)に人生賭ける!」という考えはお金持ちではなく破滅への第一歩です。

著者のおすすめはハードルの高い不動産投資

明記はされていませんが、本文中での「お金儲けの具体例」で登場する頻度から察するに、著者のおすすめは不動産投資なんだろうなと推察できます。

手ごろな値段の不動産を見つけて、頭金の数千ドルだけ工面して手に入れて、それを適正価格で買ってくれる人に売れば、頭金を引いた数万ドルがまるまる懐に入ってくる。

読んでいる分には本当に簡単そうに見えますが、「手頃な価格の不動産」を見極めるのは、こと日本においてはアメリカよりはるかに難易度が上がってしまいます。

地震をはじめ自然災害が多いのもさることながら、新型コロナの影響で一気にリモートワークや宅配サービスが広まったことで、よくも悪くもこれまで通りの基準で今後の地価を予想するのが難しくなりました。

逆に言うと今が新規参入のチャンスともいえそうですが、「買い手が見つかる前に自然災害で価値が0になる」リスクがアメリカよりはるかに高いことを考えると、日本で不動産投資を始めるにはそれなりの前準備が必要です。

あと忘れがちな事実ですが、さらっと書いてある「数百ドル」も一般ピーポーからすれば十分大金ですからね。

「元が取れればいい!」という考えはお金持ちではなく破滅へn(ry

投資信託は「貧乏父さん」のやること

つみたてNISAで株式投資デビューした私ですが、これは手法としては「投資信託」にあたります。

投資信託とは、自分で投資する会社をひとつひとつ選んで売買するのではなく、「専門家」にお金を払って、投資する商品や運用をお任せするものです。

このうち「つみたてNISA」は、簡単に言うと、お金を払う「専門家」は国の基準に合格したものの中から選べて、毎日or毎月の自動積立設定ができて、20年間の運用利益には税金がかからないという、投資初心者にはありがたい制度です。

もちろんこの中から自分なりに頭を使って選ぶ必要がありますが、個別株投資と違い掛け金が少額でも始められること、会社の成績に合わせて適宜運用のパーセンテージや対象を組み替えてくれること、自分ひとりでは到底追いきれないほど多くの会社にまんべんなく投資できること、などなどメリットはたくさんあります。

ところがどっこい、残念ながらこの本では投資信託は「貧乏父さん」のやることとして紹介されてしまっています。

――「貧乏父さん」は車やマイホームをローンを組んで買い、月々の支払いのためにせっせと働き、余ったわずかなお金を貯蓄と投資信託に回す――といった具合にです。

日本人の感覚でいえば、「株に投資している」というだけでかなりマネーリテラシーが高い部類に入ると思うのですが、さすが経済大国アメリカというべきか、投資信託に甘んじているレベルでは「金持ち」になるには程遠いと突き付けられたようでかなりショックでした……

とはいえ、実際に株を買って運用する経験を積むのに投資信託はうってつけだと思います。

株価の上下にどのくらいまでなら精神的に耐えられるか、目を付けた会社や分野がその後どう成長したか、何より株式投資を楽しいと思えるかどうか、といったことを少額で試してみる分にはこれ以上ないものです。

……

そうは言ってもですね、「練習」なんですよね、うん。
つみニーの調子が多少いいからって思考停止はダメなんですね……すみません……

と、とりあえず四季報とかよめばいいのかしら?

【書評】金持ち父さん貧乏父さん:おわりに

はい、というわけで、「ようやく株を始めたばかりでそれ以上のことをする勇気がまだないぴよっこ」の滑稽な戦いはこれまででございます。ぴよぴよ。

株にしろ不動産にしろ、「お金のために働かなくていいように投資をする」という人は、ぜひとも手に取って読んでもらいたい本です。

全部実行するのは大変ですが、しっかり「お金の勉強」をして、一度や二度の失敗でめげずに練習し続ければ、必ず「お金儲けのゲーム」で勝てるようになる、という励ましのメッセージがたくさんこめられています。

私も投資信託をdisられたショックから早く立ち直って、個別株にも挑戦できるようにもっと勉強したいと思います!ぴえん!

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