採血がこわい…「迷走神経反射(VVR)」を防ぐために自分で出来ること

迷走神経反射(VVR)を防ぐためにできること健康・医療

健康診断や病院の検査で必ずと言っていいほどある「採血」。

もはや字面を見るだけで嫌!

という人もいるのではいないでしょうか?

何を隠そう医療技術職である私も、採血は針を直視出来ないくらい苦手です。

(学生時代はなんともなかったのに、仕事で採血後に倒れる人をたくさん見ているうちにダメになってしまったタイプ…)

私の知る限りたった一人だけ

「刺すのも刺されるのもだーいすき♡」

というとんでもねー変態変わった子がいるのですが、こんな例外を除けば誰でも針を刺されて良い気はしないですよね。

ただ苦手だなー嫌だなーと思うだけならまだしも、採血の度に

  • 冷や汗が止まらなくなる…
  • 気持ち悪くなってしまう…
  • 意識が飛んでしまう…

などなど、採血が終わった後もしばらく不快な症状に悩まされる人が結構います。

そこでこの記事では

採血後の「迷走神経反射(VVR)」を少しでも和らげるために出来る対策を、VVRを経験した当事者であり医療従事者でもある私がお伝えします。

これをやったからと言って完全に予防出来るものではありません。
あくまで「おまじない」程度のものとしてご覧ください。
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そもそも「迷走神経反射(VVR)」ってなに?

正式名称は『血管迷走神経反応(Vaso Vagal Reaction) 』。

血管に針を刺すことによって迷走神経が刺激され、脳への血流が減少することで起こります。

症状は様々で、複数同時に出る場合も多いです。

軽症
  • 冷汗
  • 顔面蒼白
  • あくび
  • 四肢皮膚冷感(手足が冷たくなる)
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 意識消失(5秒未満)
重症
  • 意識消失(5秒以上)
  • 失禁
  • けいれん

VVRは採血中や直後(まれに針を指す前)に起こりますが、中には数時間後に症状が出る場合もあります。

採血した会場内であれば、スタッフが回復するまで対処してくれますが

会場を出た後に症状が出てしまうと、仕事や日常生活に支障があるだけでなく

転倒して頭を打ってしまったり

最悪の場合車に轢かれるなどの可能性もあるので、注意が必要です。

もし採血後に少しでもおかしいな…と思ったら

すぐにしゃがむ(屋内など可能であれば横になる)などして、頭を打たないようにすることが大切です。

「迷走神経反射(VVR)」を誘発するもの

VVRはその時の体調や心理状況に誘発されやすいものです。

VVRを誘発するもの
  • 初めて、又は前回から間隔が空いている
  • 不安感、緊張感が強い
  • 過去に失神や、採血後のVVR経験がある
  • 強い空腹、又は食べすぎ
  • 水分不足
  • 疲労、睡眠不足
  • 衣類などの締め付けが強い
  • 若年

不安や緊張以外にも、結構たくさん誘発因子がありますよね。

その時の状況によって、誘発因子が重なってしまうと

「今までなんともなかったのに、なぜか今回ダメだった…」

なんてことも割りとあります。

逆に、「若い時全然ダメだったけど今はなんともないわ!あっはっは!」

と朗らかに笑いながら採血を終える中年以上の方もいらっしゃるので、一生付き合わなくても大丈夫な可能性があるのは救いですね。

「迷走神経反射(VVR)」を防ぐために自分で出来ること

さて、やっと本題です。

ここまで見てきて大体予想は付いていると思いますが、場合によっては使えないものもあるので気をつけてくださいね。

前日はしっかり睡眠をとる

簡単なようで、現代社会ではなかなか出来ない睡眠時間の確保

特に仕事の都合で夜勤明けに採血しなければいけない場合などは難しいですが、なるべく採血までに疲労がたまらないよう、数日前から体をいたわるようにしてみてください。

食事と水分を適度にとる

これが出来ればいいのですが、健康診断などの場合は、最後の食事や水分補給の時間に指定があることがほとんどですよね。

胃部X線(バリウム)検査や、腹部エコーの検査がある場合はそっちが終わるまでカロリー摂取はNGです。

ただ、もしそういった検査が必要なく

会社のお金で受ける場合などは、空腹状態じゃなくても採血OKと確認が取れた場合であれば、食事をとって大丈夫です。

ただし、会社ごとに検査項目や条件が違うので、くれぐれも独断ではしないようにしてくださいね。

献血や、空腹時間に指定のない採血の場合は適度な食事と水分補給でしっかり備えましょう。

不安を和らげる方法を知っておく

なんだかんだ言っても、やっぱり不安感は大きな要因です。

自分の中で「これをやっておけば少しは不安が減る」と思える方法をいくつか頭に入れておいて、出来る範囲でやってみるのも効果があります。

私の場合は、不安を和らげる手のツボを採血直前まで押すようにしています。

周りを気にせずこっそり出来るのでオススメです。

採血の前にきちんと申し出る

実はこれが一番大事と言うか、医療スタッフの立場としては最優先してもらいたいことです。

採血が初めての場合や、すでにVVRで倒れたことがある場合はあらかじめ申告してもらえれば最初からベッドなどで横になって採血することができます。

具合が悪くなってから横になるより回復も早いですし、意識を失ったときに怪我をするリスクも回避できます。

中には、横になって採血すれば全然具合が悪くならない(採血が終わればスタスタ元気に歩いて帰っていく)という人もいるくらいです。


ただ、中には周りの目が気になって平気なフリをして倒れてしまう人もいます。

明らかに顔色が悪かったり、緊張してるのが丸わかりな時は

「なんかちょっと怪しいぞ」と、察してベッドに連行したりしますが、表に出ない人は倒れるまで全く分からなかったりします。

「採血がダメなのが知られるのが恥ずかしい」

という気持ちはわからなくもないですが

例えば街中で遭遇したら目を合わせるのが怖くなるような入れ墨バリバリスキンヘッドのイカツイお兄さんでもベッドで採血してたりします。

大丈夫じゃなかったら、正直に大丈夫じゃないと言ってOKです。

なんも恥ずかしくないです。

むしろ言ってくれないと困ります。笑

なのでちゃんと申告してくださいね!

おわりに

いかがでしたか?

蛇足ですが、一般的な健康診断(血糖、血算、生化学の3本採血)の場合、採血量はたったの10cc程度です。

実は大さじ一杯(15cc)より少ない量なんですよ。

なんだそんなもんかって思えてきませんか?

「大したことない」って思えれば、不安もいくらか和らぐんじゃないかと思います。

この記事を読んで、少しでも採血がんばってみようと思っていただけたなら幸いです。

参考資料
日本赤十字社: https://www.bs.jrc.or.jp/csk/hiroshima/2017/12/vvr.html
失神の診断・治療ガイドライン: http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_inoue_h.pdf
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