【レビュー】伝え方が9割②:鵜呑みにすると危ないのは前作と変わらず

書評 伝え方が9割②読後レビュー・書評

前作である「伝え方が9割」を読んだところ、認知度と裏腹に内容が薄すぎると感じました。

でも続編もあるようだし、もしかしたらこれはあくまで入門編で、セットで読むことで真価を発揮するのでは……!?

と期待して、続編も読んでみました。

結論から申し上げると、残念ながら前作にほんのキモチ+αがあっただけの内容でなおかつ前作よりも鵜呑みにすると危険なコラムが増えたという感じでした。

実質この+α部分に1400円+税金を払っているわけですが、αの部分が量・質ともに残念。

前作を読んで「ためになった!」と素直に言える人にとっては、前作の復習をしつつマネできる具体例が充実していていいのではないかと思いますが、前作を「ビミョー」と感じたならわざわざ読まなくてもよさそうです。

もし「伝え方が9割」シリーズを未読で興味があるという人は、続編の②だけ読めば十分でしょう。

この記事では前作から追加された内容と、なぜ「伝え方が9割」シリーズはこんなにも薄く感じるのか?自分なりに気づいたことなど書いていきます。

この本はこんな人におすすめ
  • 文章に限らず言葉のやり取りがとにかく苦手
  • センスがないのにうっかり文章を書く仕事を任されてしまった
  • メールやチャットの文面が堅すぎるような気がして悩んでいる
この本がおすすめできない人
  • 得意かどうかはおいといて、言葉のやり取りに抵抗はない
  • すでにライティング本を勉強しているけど、さらにスキルを上げたい

伝え方が9割②:概要

筆者の佐々木圭一さんは、文章を書くのが苦手にも関わらず入社後にコピーライターといて配属されました。

毎日毎日、何時間も考えたコピーをすぐボツにされ、仕事の内容を全否定され続けるうちにストレスで激太り。

そんな中で、もがきながら映画や小説、名言集などたくさんのコトバに触れ、気になったものを書き写していくうちに「心を動かすコトバのレシピ」なるものを見つけます。

その後コピーライターとして面白いように評価されるようになりましたが、本書は筆者が十数年かけて見つけた「コトバのレシピ」を、誰でも身につけられるように構成したもの、だそうです。

筆者本人がさまざまな広告賞を獲得しているのに加え、初めての著書である前作「伝え方が9割」は2013年ビジネス書ランキング1位(その後3年連続ベスト10入り)、年間ベストセラー単行本2位(日販・トーハン調べ)など受賞しました。

「伝え方が9割」から追加された内容:鵜呑み危険度UP!

前作がどんな内容だったか気になる方はこちらを参照していただくとして、続編の②で追加された内容は概ね3点です。

どれもそのまま実行したらヤバめな内容なので、相対的に前作よりさらに「鵜呑みにしたら危ない本」になってしまっています。

伝え方コラム:あなたの「伝え上手度」チェック

チェックページは全部で3つ。

①先輩や上司など「目上の人にうまく伝えられているか?」が一発でわかる質問
②「コミュニケーションで損をしていないか」が一発でわかる質問
③「人を惹きつけるコミュニケーションをしているか」が一発でわかる質問

どんな内容だと思います?
……たぶん当たらないので真面目に考えなくていいです。

正解はこちら。

①A.先輩/上司の、子どもの名前は?
②A.今日”ありがとう”と言った人を覚えているか?
③A.この3ヶ月で、花を贈ったことがあるか?

えぇ……?って思いますよね。
②はともかく①と③。こんなんでわかってたまるかーい。

念の為解説しますと、①は

上司や先輩にとっていちばん大切なもののひとつ(子ども)を知っている
=「上司や先輩の好きなことを」考えたことがある
=コミュニケーションの基本「相手の頭の中を想像する」を実践できている

という理屈です。

そりゃプライベートに踏み込んだお付き合いをお互いにしたいと思っているなら有効かもしれないですけどね。

「すぐに上司の子どもの名前を調べるようにしましょう」とまで書いてあるのはいただけない。

初版が2015年とはいえ、ちょっと「相手の頭の中を想像」したら嫌がる人も当然いるのがわかりそうなもんですが。

②は一見まともそうに見えますが、残念ながらこの少し前に書かれている「イエス」に変える切り口7:感謝という項目が厄介者。

これはお願い事をするときに、相手がやってくれる前に「ありがとう!」とお礼を言ってしまえ、というもの。

前作でも紹介されていたテクニックですが、「先にお礼を言われると、瞬間的に、ほのかな信頼関係が生まれる」としています。

個人的な感想を言えば、たまったもんではないですね。

「やる前からお礼まで言われてしまうと断りづらい」から、しょーがないなと思いつつしてあげるのであって、”ほのかな信頼関係”が生まれるタイミングも理屈もよくわかりません。

(期待されると答えたくなるという特徴を活かした切り口はこれとは別に「認められたい欲」として紹介されています。)

さらにこれが一度や二度ならまだしも、普通に頼むと断られそうな面倒なお願い事のたびに使われるとなると話は別。

「あの人わざと断りにくい頼み方してくるから苦手」と思われるのが関の山です。

もちろん普段から小さなことでお礼を言える人ならそこまで違和感ないと思いますが、そうでない人がテクニックとして常用すると近い将来周りから遠巻きにされそうですね。

③に関しては、「花を贈っている人は、相手の心に強く伝えるのが得意な人」とされています。

花を贈るのはちょっと照れくさいけれど、もらえると単純に嬉しい
=記憶に残るし、いつか必ずお返ししようと思う
⇛仕事につながれば、何倍どころか何十倍のリターンとなることもある

という理屈らしいです。筆者にとっては。

贈られた相手が大のお花好きで、唐突に花を贈られても困らないように空の花瓶を常備しているような人ならワンチャンあるかもしれないですね。

もらった瞬間は嬉しく感じる人が多いとしても、後始末のことを考えるととてもおすすめできないです。

……「仕事につながるお花のプレゼント」ってどんなシチュエーションですかね。
筆者自身は経験があるのかも知れませんが、そのあたりは特に記載がないのでわかりませんでした。

実況中継:「伝え方が9割・講義」

筆者は前作「伝え方が9割」が好評だったのを受けて、各地で講演会をされています。

参加者が実際に「コトバのレシピ」を使って文章をつくり、発表し合うというもののようです。

筆者以外の、コトバを書くことを仕事にしているわけではない一般の方でも「ココまでできる!」ということを伝えるのが主な目的だと思います。

ただ、ビジネスシーンで鉄板とされている「相手の好きなこと」「認められたい欲」を使った例文は、なんともマネしづらいなーと思いました。

例えば苦手な上司にアドバイスしてほしいとき、「〇〇さんに少しでも近づけるようにがんばりたいです。」ってかなりリスキーな切り出し方じゃありません?

本心で言えるような人ならいいけどね。
違うならあとあと面倒なことになるからやめておきな?

新しい3つの技術を初公開!「強いコトバをつくる技術」

前作は大きく分けて、「イエス」に変える7つの切り口と「強いコトバ」をつくる5つの技術の二部構成でした。

本書では「強いコトバ」のレシピがさらに3つ加筆されています。

とはいえ、やはりこの本でしか読めない!という貴重情報ではありませんでした。

■「ナンバー法」

いっぱいとかたくさんと言うより具体的な数字を出したほうが伝わりやすいという話。
そりゃそうだ。

■「合体法」

ヒット商品や流行した言葉など、世の中にある新しいものはそのほとんどが「2つのものの組み合わせ」で生まれるというもの。

ほう、と思って例を見てみると

・妖怪ウォッチ
・カルピスウォーター
・壁ドン

などなど……
もうちょっと他にいい例なかったかな。

「こども店長」は唯一納得できた。

■頂上法

人は頂上にあるものを、頂上にあるという理由で好むという話。

この項目は本書でも「お店の棚で、一番使われている技術」として紹介されていますが、マーケティング本でよく見る内容ですね。

要素を追加しようとした結果本書の趣旨と外れてきている気がしなくもないですが。

「伝え方が9割」シリーズを”薄い”と感じた理由

シリーズ通して読了し、やはり感じたのは内容が薄いということ。

具体例はともかく間違ったことは書いてないはずなのに、なんでここまで虚しく感じるのか?

しばらく考えてみた結果、おそらくは「コピーライターに配属されたばかりの頃の筆者に読ませても再現できない」からではないかと思いました。

この本は筆者の苦い経験をもとに、同じように遠回りしなくてもいいように、と書かれたものです。

しかし、残念ながら過去の筆者とこの本のターゲットには埋められない溝があります。

それは「浴びるようにコトバに触れたことでできた、コトバの引き出し」の有無。

センスがなくても、技術を知らなくても、心に残った文章や新しく知った表現は少しずつ頭の中に蓄積されていきます。

過去の筆者は、そうした積み重ねがあった上で「コトバのレシピ」を見つけたから大成したのだろうと考えました。

つまり、コピーライターに配属されたばかりの頃――「博」という字の右上に点があるかどうかもわからないほどコトバの引き出しがガタついていた頃――の筆者にこの技術を伝えても、ここまでの結果を残すことはなかったでしょう。

むしろ、小手先のテクニックだけが身についた哀れな「コピーライターもどき」が出来上がって終わりだったかもしれません。

この本を読めば「十数年の遠回り」はしなくていいかもしれないですが、結局のところ、「コトバの引き出し」を増やす努力をしなければ何にもならないのです。

フレンチのレシピを片っ端から覚えても、手元にある材料が米と卵しかなかったら作れる料理が限られてしまうようなもの。

再現性があるようでない、なんとも言えない後味の本でした。

「伝え方が9割②」感想まとめ

前作でも思いましたが、コトバの勉強をするのにこの本をあえて選ぶとしたら「文章の読み書きが苦痛でしかたない人」くらいだろうと思います。

それでももし、怖いもの見たさで読んでみようと思う人がいるならメルカリなどで安く手に入れるのが吉。

読み終わったら買ったときと同じくらいの値段で売れますので、キャッチ&リリースで十分でしょう。
初回登録まだの方は私の紹介コード「JNZJYC」入力でお互いにポイント入りますので、お使いくださいませ。

もし、もしも万が一新書で読みたくなってしまったら、Amazonの赤裸々レビューを読んでからにしてくださいね。

それでは!

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